美容に興味がある人なら「YAGレーザー」という名前をよく目にするかもしれません。

脱毛はもちろん、シミ取りなどでも活躍しているからですが、実はたくさんの種類があることをご存知でしょうか?

脱毛に使われるのはそのうちの1グループ。

他の脱毛レーザーにはない優れた特長がありますが、少し苦手とすることもあります。

詳しく解説していきますので、良い点も悪い点もきっちりおさえて、安全で効果的な医療脱毛選びに活かしましょう。

YAGレーザー(ヤグレーザー)とは?どんな脱毛機?

YAGとはイットリウム(Y)とアルミニウム(A)で作ったガーネット(G)のことで、代表的な人造宝石の一つです。

この石にネオジム(Nd)を混ぜてレーザーの発振器にすると近赤外線を出すため、多くの美容医療で便利に使われています。

短時間にジュッと照射してシミを消すQスイッチYAGレーザーもありますが、脱毛に使うのはじっくり照射するロングパルスの方。

つまり脱毛に使うのはロングパルスNd:YAGレーザーなのですが、施設によってはYAGレーザー等と省略したり、クールグライドなど製品名で表記していることもあります。

YAGレーザー(ヤグレーザー)の特徴 出力や波長は?

YAGレーザー(ヤグレーザー)の特徴
  • 波長1064nmの赤外線レーザー
  • 根深くガンコなムダ毛にも効果的
  • 皮膚が黒っぽいところでも照射可能
  • 照射面は丸い
  • 出力によっては痛い場合も

他の可視光レーザーより波長が長い赤外線レーザーなので、皮下の奥深くまでエネルギーが到達します。

そのため、毛根が深いところにあり復活しやすいムダ毛にも効きますし、日焼けや色素沈着で皮膚表面が黒っぽくなっていても脱毛効果を得られます。

一方で、照射面が丸いため四角いタイプのレーザーに比べると広い面積をまんべんなく照射するのが苦手です。

また、効果の裏返しという面はあるものの、照射時の痛みを強めに感じる人もいるようです。

YAGレーザー(ヤグレーザー)と他の医療レーザーとの違いは?

医療脱毛で使われるレーザーは主に3つのグループに分かれます。

レーザー脱毛の基本的な仕組みは、白に反応せず黒に反応するレーザーの性質を利用したものです。

しかし、肌の白さと体毛の黒さは人によって違いますから、レーザーにもそれぞれ得意不得意があるのです。

3つの医療脱毛レーザー比較表

アレキサンドライトレーザー ダイオードレーザー YAGレーザー
脱毛効果 濃い毛に効果あり 濃い毛・産毛に効果あり 毛根が深い毛に効果あり
痛み

普通

弱い

 

かなり強い
産毛
美肌効果

あり

 

少ない

あり
色黒
日焼け肌
色素沈着
費用

最も安い

普通

 

普通
波長 755nm 810nm 1064nm
ジュール数 最大30ジュール 最大60ジュール 最大340ジュール

YAGレーザーは日焼けなどで肌が茶色くなったり、体毛が産毛のように薄い色だったりして、肌と毛の色差が少なくても脱毛効果を得られる専門家タイプ。

アレキサンドライトレーザーは、肌の白と体毛の黒にはっきりした差が必要なかわり、早く安く施術できる気軽なタイプ。

ダイオードレーザーは得意の微調整を活かしてまんべんなく対応する万能タイプです。

5種類のYAGレーザー(ヤグレーザー)を使用した脱毛機

レーザー脱毛は新しい医療分野ですので、脱毛器も日々進化しています。

次世代機が登場するなど、より安全に確実な脱毛効果を得られるようになってきました。

4種類のYAGレーザー(ヤグレーザー)脱毛機の比較表【8項目】

痛み 色黒
日焼け※
産毛 肌トラブル 美肌効果 施術時間 脱毛完了までの
平均回数
照射口の大きさ
ジェントルYAG

かなり強い


あり

5~7回 6~18mm
G-MAX
(ジェントル
マックス)

あり

5~7回 6~18mm
※OP1.5~24mm
エリートプラス・
エリートMPX

あり

5~7回 3~18mm
※OP20~24mm
クラリティ ツイン

あり
5~7回 2~20mm
Xeo(ゼオ)
(ゼネシス)

かなり強い

あり
5~7回 3~10mm

※照射口のOP(オプションサイズ)は、クリニックによって導入していない場合があります。

ジェントルYAG(GentleYAG)

ジェントルYAG(ジェントルヤグ)の特徴
  • 脱毛に定評がある米国キャンデラ社(現シネロン・キャンデラ社)が開発
  • 照射直前に冷却ガスを吹き付けて痛みを緩和する特許技術
  • 脱毛用YAGレーザーのスタンダードで実績豊富
  • シワや赤ら顔を改善する美肌治療に使うのも同じ機器

国内にあるロングパルスYAGレーザーの代名詞といえる名機です。

脱毛だけではなく美肌目的に使うこともあるため、多くのクリニックに導入されました。

あらゆる場面で安全に使われてきた実績は確かなもので、痛みを緩和する冷却ガスといった基本的な考え方は後継機にも受け継がれています。

G-MAX(ジェントルマックス、Gentle-MAX)

  

G-MAX(ジェントルマックス)の特徴
  • 定評あるジェントルYAGの新しい後継機
  • アレキサンドライトレーザーとYAGレーザーを両方とも搭載したハイブリッド型
  • 良いところ取りで早さと安全性が向上
  • 国内クリニックへの普及はこれから

もともとキャンデラ社はジェントルYAGと別にジェントルレーズというアレキサンドライトレーザーの脱毛器も開発していました。

ともに脱毛に使うものですので、後継機であるG-MAXは両方のレーザーを併せ持つハイブリッド型に統合されました。

それぞれの長所を活かせば、より高い脱毛効果を安全に得られるのです。

その他のYAGレーザー(ヤグレーザー)脱毛機

 

エリートプラス・エリートMPX

エリートプラス・エリートMPXの特徴
  • アレキサンドライトレーザーとYAGレーザーを両方とも搭載したハイブリッド型
  • 「プラス」は照射口が小さく脱毛速度が遅かった「エリート」の後継機
  • 「MPX」はアレキサンドライトレーザーとヤグレーザーを交互に連続照射可能

クラリティ ツイン(CLARITY TWIN)

クラリティ ツイン(CLARITY TWIN)の特徴
  • アレキサンドライトレーザーとYAGレーザーを両方とも搭載したハイブリッド型
  • 美容大国である韓国のルートロニック社がアジア人の肌向けに開発
  • 照射スポットの中心に集まりがちなレーザー光を均一に照射

Xeo(ゼオ)(ゼネシス)

Xeo(ゼオ)(ゼネシス)の特徴
  • 照射口を交換すると様々な治療ができるマルチ美容システム
  • 主に若返り用の「ジェネシス」はYAGレーザーなので脱毛にも使える
  • ただし「プロウェーブ」という光脱毛の照射口が脱毛専用として用意されている

YAGレーザー(ヤグレーザー)の脱毛効果は?ほくろも脱毛できる?

YAGレーザーなら、VIOや男性のヒゲなど他の脱毛レーザーが苦手とするムダ毛も処理できる場合があります。

効果の裏返しとして強い痛みを感じることもありますが、処理が進んで体毛が減るにしたがい痛みもなくなっていきます。

他のレーザーに比べれば、多少のほくろも気にせず照射できます。

色が変化することもありますが、ほくろ取り専用のレーザーとは違うので効果は限定的です。

大きくふくらんだほくろなどは先にほくろ取りをした方が良いかもしれません。

YAGレーザー(ヤグレーザー)5つのメリット

  1. 深部まで届くので毛根が深い毛に効果的
  2. 色素沈着や日焼けのある肌にも脱毛できる
  3. 脱毛時間が短く済む
  4. 美肌や美白効果もある
  5. 硬毛化のリスクが低い

メリット1.深部まで届くので根が深いVIOやワキ、男性髭に効果的

YAGレーザーは、他の可視光レーザーと違って赤外線なので肌の奥まで届きます。

そのため、男性のヒゲ、VIOやワキといった毛根が深いところにある体毛でも高い効果が得られるのです。

ちなみにダイオードレーザーの場合は、ヒフに脱毛器を押し付けて毛根を寝かすことで足りない距離を稼ぎます。

しかし、あごなど凹凸がある部分や肉付きの少ないスマートな人だと、平らに押せないことがすぐ分かるでしょう。

そういった無理をしなくても大丈夫なYAGレーザーの方が有利というわけです。

メリット2.色素沈着や日焼けのある肌にも脱毛できる

そもそも、黒人を含むすべての人種で脱毛が可能なように開発されたのがYAGレーザーです。

一般的な肌色の日本人であれば、多少の日焼けや色素沈着などで肌が茶色になっていても全く問題ありません。

よく目にする「日焼けするとレーザー脱毛できない」というのはアレキサンドライトレーザーのこと。

あちらはもともと白人の肌色には最適ですが、アジア系人種にはあまり向いていないのです。

なお、日焼け直後で赤く炎症を起こしているような時は、どのレーザーも使えませんので注意してください。

メリット3.脱毛時間が短く済む

前処理と後処理が少ないのでトータルの施術時間が短く済みます。

レーザーを照射すると熱を発するので、施術中に余計な部分がヤケドしないよう冷やしながら行なうのが大原則。

YAGレーザーの各機種は冷たい空気を吹き付ける方式を採用しています。

一方でダイオードレーザーや光脱毛は、照射面を冷たくして肌に押し当てる方式。

そのため、冷たさが伝わりやすいよう事前にジェルを塗り、事後にジェルを拭くという手間があり、余計な時間がかかってしまうのです。

結果的にYAGレーザーの方が短く済むということになります。

メリット4.美肌や美白効果もある

YAGレーザーは美肌用としても使われています。

レーザーのエネルギーが肌の奥に届くと細胞を活性化させ、生まれ変わりが活発になります。

結果として小ジワが消えたり素肌がプルプルになったりするのです。

また、顔の赤みをとるのに使うこともあります。

実は美肌用YAGレーザーと脱毛用YAGレーザーは同じもので設定を少し変えているだけ。

そのため、ただ脱毛していただけなのに肌がキレイになったという感想をもつ人もいるようです。

もっとも、あくまでもオマケ効果なので実感できたらラッキーくらいに考えておきましょう。

メリット5.硬毛化のリスクが低い

もともと産毛のように細かった毛が、太く濃くなって再生してくることを硬毛化と呼びます。

何かしらの病気や環境変化のほか、なぜかレーザー脱毛後に起こることもあるのです。

その詳しい原因は確定していませんが、レーザー照射が弱すぎると毛根への刺激がかえって細胞を活性化させ、太く元気な毛になってしまうのではないかと考えられています。

その点でYAGレーザーは弱すぎるということがほぼありません。

いくらか痛みを感じるくらいが効いている証拠で、逆に痛くないレーザーは硬毛化するリスクがあるのかもしれません。

YAGレーザー(ヤグレーザー)3つのデメリット※一番痛みが強い?

  1. レーザー脱毛の中で一番痛みが強い
  2. 導入しているクリニックが全国的に少ない
  3. どちらかというと補助的な役割で使用されている

デメリット1.レーザー脱毛の中で一番痛みが強い

完全に脱毛が終わった白い肌にレーザーを照射しても何も感じません。

つまり、痛みはムダ毛が残っていてレーザーが効いているという証拠なのです。

そうは言ってもYAGレーザーは肌の奥に届くぶん他のレーザーより痛みが強く、骨に響くと表現する人もいます。

また、残念ながら塗るタイプの麻酔は効果が限定的です。

それは痛みの発生源である肌の奥まで薬が入っていかないからです。

対策をお願いしてみるか、痛くなくなる日を夢見て耐えましょう。

デメリット2.導入しているクリニックが全国的に少ない

YAGレーザー自体は多くのクリニックが持っていますが、脱毛メニューを提示しているとは限りません。

これは、手間の割に単価の安い脱毛治療より、高額料金がとれる美肌治療に、同じ機械を回したほうが良いという経営的な問題によるものでしょう。

また、脱毛に力を入れているクリニックでも、より回転効率が良い脱毛器を使う傾向があります。

いずれもクリニック側の都合ですがレーザーは高額なので仕方ない面もあります。

デメリット3.どちらかというと補助的な役割で使用されている

広い面積をザッと処理するのは、アレキサンドライトやダイオードレーザー、光脱毛器が得意とする分野です。

パワーや照射スポットを比べられると、YAGレーザーはかないません。

そのかわり細かい作業や他では取り切れない難しい部位が得意なのですが、結果として残務処理ばかり押し付けられる不遇な地位になってしまいました。

本当は広い面積から最後の仕上げまで1台でできる優秀な機器なのですが残念です。

YAGレーザー(ヤグレーザー)経験者のホンネは?

宣伝には良いことばかり書いてありますので、実際に受けてみた方の感想を調べてみました。

YAG(ヤグ)レーザーの良い口コミ

毛周期という物理的制約があるため、YAGレーザーを数カ月おきに繰り返す必要がありますが、次第に効果を実感できているようです。

YAGレーザーは他のレーザーに比べて力強い効果があります。

その切れ味の良さを気に入っている方も多いようです。

YAG(ヤグ)レーザーの悪い口コミ


YAGレーザーは最後に残った難しいところを処理する場面が多いこともあって、痛みを感じる人が多いようです。

それでも最新のジェントルマックスであれば、少しは軽減されるかもしれません。

YAGレーザー(ヤグレーザー)がおすすめの人・できない人

際立った特徴があるため、はっきり言って人を選びます。

好き嫌いが大きく分かれるレーザーでしょう。

YAG(ヤグ)レーザーをおすすめできるのはこんな人

・VIOやワキなど濃くて深い毛を脱毛したい人
・色素沈着や日焼けのある肌を持っている人
・脱毛しながら美白&美肌になりたい人
・医療レーザーによる硬毛化が不安な人

1つのクリニックで最後まで完璧に仕上げたい人に向いています。

上にあげたのはYAGレーザーの特長ですが、その裏を返せば他のレーザーでは根深いムダ毛が復活してきたり、色素沈着を理由に断られる可能性があるということです。

細い毛が数本復活するくらいはともかく、クリニックでVIO部位を見せたうえで「色が黒いから無理」と断られたら精神的にショックが大きいはず。

はじめからYAGレーザーを選んでおけば悔しい思いをすることもありません。

YAG(ヤグ)レーザーをおすすめできないのはこんな人

・痛みが強い脱毛は絶対嫌な人
・全身脱毛をしたい人
・脱毛は料金が安い方がいい人

YAGレーザーは完璧主義なので「だいたいで」ということができません。

常に本気のレーザーがくるので痛みもありますし、全身脱毛のように広い面積を処理するには時間と手間が必要です。

そのためコストもそれなりにかかってしまい、決して安さ優先にはならないのです。

「今より少し減れば満足」という人は、アレキサンドライトレーザーダイオードレーザーで安価に処理してくれるクリニックのほうが良いでしょう。

YAGレーザー(ヤグレーザー)を導入している医療脱毛クリニック

YAGレーザー脱毛機を導入しているクリニックはあまり多くありません。

さらに、導入しているYAGレーザー脱毛機も「ジェントルYAG」「G-MAX(ジェントルマックス)」がほとんどです。

YAGレーザーを使用したマシンを導入しているクリニック
  • リゼクリニック
  • フェミークリニック
  • ジュエルクリニック
    恵比寿

この3つのクリニックが、どのYAGレーザー脱毛機を使用しているのか、表にまとめてみました。

3つのクリニックが導入するYAGレーザー脱毛機の種類と地域比較表

クリニック ジェントルYAG G-MAX
(ジェントル
マックス)
クリニックがある
地域
リゼ 青森・岩手・仙台
新潟・福島・東京
埼玉・横浜・名古屋
三重・大阪・神戸
京都・広島・福岡
【全国19院】
フェミー 渋谷・新宿・池袋
銀座・梅田・心斎橋
【東京・大阪6院】
ジュエルクリニック
恵比寿
恵比寿
【東京1院】

いずれもレーザー脱毛に力を入れているクリニックで、肌質に合わせられるよう複数の機種を保有しています。

当然のことながらYAGレーザーも用意してあり、難しい部位やトラブルをかかえた肌の脱毛を相談したい場合でも安心です。

しかも機種による価格の違いはなく、YAGレーザーを使っても同一料金ですから、多くの人が満足できるでしょう。

YAGレーザー脱毛機で脱毛するならここ!【クリニック2選】

YAGレーザー脱毛機を取り扱っている、おすすめのクリニックは2つあります。

2つのクリニックとおすすめな理由

★リゼクリニック→→→→→→→→→全国にあるので引越ししても安心!

★ジュエルクリニック恵比寿→→→→キャンペーンが激安!
2つのクリニックの料金を比較してみたので、チェックしましょう!

2つのおすすめのクリニック料金比較表
クリニック 全身脱毛
【VIO・顔なし】
5回
両わき
5回
VIO
5回
リゼ ¥298,000 ¥19,800 ¥99,800
ジュエル
クリニック
¥199,000
(※1)
¥27,500 ¥187,100

(※1)「都度払い」39,800×5回=199,000円

まとめ:YAGレーザー(ヤグレーザー)

YAGレーザーを人にたとえるなら、真面目にしっかりこなすコツコツタイプ。

簡単なところだけやって「後は任せた!」といなくなるお調子者のアレキサンドライトや、八方美人タイプのダイオードに比べれば、あまり目立ちませんし人気もありません。

しかし本当はとても器用だし、他人が嫌がる仕事だって淡々とこなしてくれるのです。

それどころか「毛を抜いておいて」とお願いしたら、「ついでに肌もキレイにしておきました」という気の利きよう。

本当になんて良い子でしょう。

付き合えば付き合うほど良さが分かってくるはずです。